上野桜木まちあるき

J R上野駅の改札を出ると広がる、上野恩賜公園。
春は桜、夏は蓮、秋は紅葉と四季折々の風景を愉しむことができます。

日本有数の桜の名所。

元々はこの土地は、今は上野桜木にある、徳川家の菩提寺である寛永寺の土地だったそうで、幕末の戊辰戦争の際に寛永寺が焼けてしまった後に、日本で初めての都市公園として整備された歴史があります。
公園口を真っ直ぐに進むと、ル・コルビジェの設計した国立西洋美術館、
その背後には国立科学博物館が並び、
さらに進むと、昭和の初めに日本初の公立美術館として生まれた
東京都美術館、その奥には上野動物園が広がります。

改札の左手を進むと見えてくる、
上野の森美術館は、現代美術作家の育成に力を入れている私立美術館です。
フェルメール展や、パリのポンピドゥー・センター展、エッシャー展などは訪れた方も多いのではないでしょうか。

上野の地では、もともとこれらの美術館が出来上がる前より、
秋には多くの展覧会が開かれていたことから、『芸術の秋』の由来になったとも言われています。

蓮で覆われた不忍池。
辯天堂の八角の形は、どこからでもお参りできるようにとのこと。
上野の山を比叡山に見立てて建立されたそうです。

西郷さんの銅像の向こう側に広がる不忍池。
蓮が覆う姿からは想像がつき難いですが、明治の頃には、池の外周をぐるりと巡る競馬場だったこともあるそうです。

色々な人の人生が重なる街というのでしょうか、
この土地が文豪に愛され、数々の小説の舞台になってきた趣を感じさせてくれます。

東京最古の煉瓦建築。上階には、扉付きの丸窓がアクセントになっています。

東京都美術館を抜けると、東京藝術大学のキャンパスが広がり、
左手には美術学部、右手には煉瓦の風合いが美しい音楽部の建物。

キャンパスの周りには、数々のカフェが連なり、さまざまな楽器を背負った学生さんが行き交います。

美術学部の建物は、音楽部とは対照的なモダンなファサードです。

学生さんの制作のために完全なオーダーメイドの額装屋さんもあり、
窓ガラスの向こうには山積みになったフレームとエプロン姿の店員さん。

私自身も学生時代はアート&デザインコースを学んでいたので、
フロアに木材を広げて額装を行う同級生を眺めていたのを思い出し、とても懐かしさを感じる光景でした。

東京芸術大学のキャンパスの間を真っ直ぐに谷中方面へ抜けていくと、
アドレスは上野桜木に。
右手を進むと上野中学校の横には、仏塔が美しい現在の寛永寺。
裏手側にさらに進むと、鶯谷の駅があります。

店先には石彫。街の至る所にアートな雰囲気が漂います。

洋風なお店も、どこか和の趣のある佇まい。街並みに溶け込んでいます。
家並みを眺めているのもとても愉しいひとときです。

アグレシオ桜木のバルコニーからは、東京藝大の美術学部が見えます。