「開発分譲地」のメリットとは?

『開発分譲地』とは、一般的な分譲地とどんな違いがあるでしょうか?
土地を分割して販売される土地を『分譲地』と呼びますが、『開発行為』とは、新たに宅地造成などを行うことをいいます。

宅地としての行政チェックを受けている

開発行為を行うためには、予め『開発許可』という行政の審査を経て、造成の設計内容が全て認められてから工事が行われます。元々宅地ではなかった土地を宅建業者が分割して造成するので、都市計画に基づいて、安全性などをしっかりと、事前に管轄する行政に確認されるのです。

開発許可制度は、都市計画で定められるいわゆる線引き制度の実効を確保するとともに、一定の土地の造成に対するチェックを行うことにより、新たに開発される市街地の環境の保全、災害の防止、利便の増進を図るために設けられた都市計画法上の制度です。

国土交通省「開発許可制度」より引用https://www.mlit.go.jp/toshi/city_plan/toshi_city_plan_tk_000011.html

これまで宅地ではなかった土地に、新たに、道路や水道、ガスなどのインフラを新設するので、インフラも現在の基準による耐震の構造になっており、新しく出来たばかりの状態で販売されることがひとつの大きなメリットです。

土地利用計画図の一部

このような「土地利用計画図」に基づいて、ライフラインや電柱、土地の高低差など、全て行政のチェックを受けながら進めていきます。
地下に埋設される配管や、高低差の断面図など詳細な図面が設計されて、最終的にかなり分厚い書類の束になります。
違法な工事や取引が行われない為に、開発許可が付されると『開発登録簿』に概要がわかる図面や、土地利用計画図などが掲載され、その内容は一般の方でも閲覧できるようになっているのです。

【トレンチを設置作業をしている現場】

例えば、昨今は気象状況の変化による集中豪雨なども多く発生しているため、大雨のシュミレーションを元にして排水能力を検討し、道路のアスファルト面に雨水が溜まって、急激に低い土地が浸水しないように配慮されています。

これまで、東京都はハザードマップを、平成12年9月に東海地方で大きな被害をもたらした東海豪雨(時間最大雨量114mm 総雨量589mmという、東京ではこれまで観測されたことのない降雨量)が東京で降った場合のシュミレーションを元に作成していましたが、平成27年度の水防法改正を受け、「想定し得る最大規模の降雨」を想定した改定図(想定される最大規模降雨版) への更新を行い、令和3年3月末で、14区域全ての改定図の作成・公表が完了いたしました。
このような豪雨対策を元にした街全体の排水計画を行っていくことも、都市計画の一環です。

このような対策のひとつとして、開発行為の際に、行政やその土地の条件によっては「トレンチ」と呼ばれる宅地内の雨水を一旦浸透させて、道路への排水を助ける施設を指定されるため、大雨の際にも以前より安全な宅地がつくられていきます。

【実際にトレンチを設置した土地】

上の『土地利用計画図』の図面の中の赤い四角いものがトレンチを示しており、写真のように掘り上げて土中に設置しています。
建物が実際に建築されると見えにくくなる部分ですが、駐車場と建物が建っている場所にも計画的に高低差をつくり、排水しやすいようになっています。

単純に以前からの宅地だったところよりも、行政の審査や造成工事なども時間がかかりますが、その分安全で新しい安全基準に則った安心な宅地になっています。

道路が広い

開発行為が行われると、行政の定める都市計画により道路の幅員を広げることを指示された場合、道路幅が広がり、より開放感ある街並みに変わります。

こちらの写真の現地では、元の幅員(道路の幅)よりも1m広がることにより、街区全体に開放感が生まれ、道路の見通しが良くなり、安全性も高まります。また、住戸の陽当りや通風なども確保しやすくなります。

開発区域の道路面や、周りに設置される電柱、L型と呼ばれる道路と敷地の境界部分の排水に使用されるコンクリートブロックなども新しくしていきます。購入される宅地部分だけではなく、道路周りの公共的なものも新しくなるので、この点もメリットのひとつと言えます。

実際にお住いになられる際には、ゆとりある前面道路ですと、駐車場への車の出し入れもしやすく安心ですし、小さなお子様がいらっしゃるご家庭では特に、見通しのよい街区であることで通学や防犯面のメリットも大きくなります。

街並みが美しい

開発行為により、道路を新しく造成し、新築の建物が立ち並ぶので街並み全体が美しくなります。
街区や外構デザインも纏まった印象になるので、整った印象になります。

また、行政によりますが、『まちづくり条例』『敷地面積の最低限度』が定められており、ひとつひとつの住戸の広さを通常よりも広く設けるようなっています。
これは、街並みにゆとりと景観を保ち、防災や防犯性を高めるために、無秩序に建物が建つことを抑制するためのルールなのです。

開発が大規模になると、ルールもより厳しくなる行政が多く、例えば、練馬区の場合は、開発区域の面積が1,000平方メートル以上から敷地面積の最低限度があります。

開発区域の面積が1,000㎡以上から3,000㎡未満のときは、全区画数の2分の1以上の区画が1区画当たり110㎡以上かつ、残りの区画が1区画当たり100㎡以上の面積にする必要があります。既存の住宅に囲まれた、1区画だけの分譲地に比べて、周囲の住戸とのゆとりが生まれます。

より厳しい基準を設けている都内の行政のひとつである、武蔵野市では開発行為に関わらず、都市計画の住居系の用途地域のすべてにおいて敷地面積の最低限度は、建ぺい率40%以下の地域は120㎡、50%以上では100㎡としています。

美観とともに、予めゆったりとした敷地が確保されていることが大きなメリットです。

同じタイミングで入居するのでコミュニティが生まれる

開発行為により、建築される棟数が大きい街並みになると、まわりに同じタイミングでお引越しされるご家族も多く、コミュニティが生まれます。

自然とその街のよさや、コンセプトに共感した方がお住いになるので、同じ価値観やライフスタイルの方が多く集まりやすいとも言えます。

「知らない土地に引っ越した際に、周りに長く住んでいる方しかいない」
「年齢層が異なるので、子供の友達ができるか心配」といったご不安を軽減できることも、メリットのひとつです。

『開発分譲地』には、大規模な街並みならではのメリットが数多くあります。
のびのびした開放感のある宅地や街区、より高い安全性などを求めて、お住まい探しをされていく際には、選択肢にあがってくるのではないでしょうか。

大規模な土地であることから、小規模な分譲地に比べると少し駅からの距離があるケースも多くなりますが、探されている「今」のタイミングだけではなく、変化する暮らし方、ワークスタイルの変化や、長く暮らす上で大切にしたいこと、それぞれのご家族のスタイルや価値観、生活の中での優先順位なども見据えて、お住いをしっかり選んでいきましょう。